こんにちは。主に車の運転業務や月末月初の広報誌の封入・仕分け・配達業務を担当しているA,Tと申します。
先日、「温泉ソムリエ」のさらなる高みを目指して「温泉ソムリエマスター」のステップアップセミナーを受講して来ました。
今回は「温泉分析書マスター」と言うステップアップセミナーを受講して来ました。
主に温泉施設の脱衣所などに掲示されている「温泉分析書」から、これから入浴しようとしている温泉がどのような温泉なのかが分かるようになる温泉分析書の見方に特化したセミナーを受講して来ました。
例として「有馬温泉」の「金の湯」の温泉分析書を用いて解説してみます。
まず金の湯の泉温が97.0℃と記載されています。25℃以上でかつ下記に記載する浴存物質の数値が1,000mg/kgを超えていれば「療養泉」となり泉質別適応症が認められるようになります。
次に浴存物質の合計が44.79g/kg(44,790mg/kg)と記載されています。この数値が1,000mg/kgを超えていれば泉質名が付けられるようになります。(1,000mg/kg以上で塩類泉となり泉質名や特殊成分を記載出来るようになります。)
次に鉄(Ⅱ)イオンが79.0mgと記載されているので、金の湯は含鉄泉と言う特殊成分を含む療養泉となります。含鉄泉は飲用すると鉄欠乏性貧血に効果が有ります。
浴存物質が1,000mg/kgを超えている温泉の陽イオンと陰イオンの中から20ミリバル%を超えている成分を抜き出して泉質名に加える事が出来ます。金の湯ではナトリウムイオンが76.08ミリバル%、塩化物イオンが99.41ミリバル%と記載されています。
陽イオンのナトリウムイオンが5,500mg/kg以上、陰イオンの塩化物イオンが8,500mg/kg以上(または、ナトリウムイオン、塩化物イオンがどちらも240ミリバル/kg以上)含まれていれば「ナトリウム–塩化物強塩温泉」となります。
以上の解析から金の湯の正しい泉質名は「含鉄–ナトリウム–塩化物強塩温泉」となります。
また、浴存物質が10,000mg/kgを超えているので浸透圧を「高張性」、pH値が6.0以上7.5未満なので液性を「中性」、泉温が42℃以上なので泉温を「高温泉」となりここを読むとだいたいの温泉のお湯の状態が分かるようになります。
温泉のお湯の状態まで含めると泉質名は「含鉄–ナトリウム–塩化物強塩温泉(高張性・中性・高温泉)」となります。
泉質名から鉄と塩化物を多く含んでいる温泉なので、鉄が塩によって錆びるのと同じように温泉のお湯の色が茶褐色になっていると推察出来ます。(実際の金の湯のお湯(内湯)の色も茶褐色となっています。)
メタケイ酸が100mg以上含まれているので「美肌の湯」(美人の湯)と言う事で美肌効果が期待出来ます。
湧出量が1分間に80リットルなので、源泉かけ流しの場合、1日に80名ほどの入浴客が衛生的に賄える湧出量だと言う事が分かります。
泉質名からこれから入浴しようとする温泉の特徴が分かるようになります。
金の湯の場合、まず含鉄泉なので、婦人の湯として、貧血・更年期障害・月経障害など女性に見られがちな症状に効果的なお湯である事が分かります。また、飲用可能な場合、鉄欠乏性貧血にも効果が有ります。
陽イオンにナトリウムイオンが多く含まれているので、生理作用として筋肉弛緩、ミネラル吸収の促進、薬理効果としてリラックス効果、飲用効果として食欲増進の効果が期待できます。
陰イオンに塩化物イオンが多く含まれているので、浴用効果として、切り傷、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症、飲用効果として、萎縮性胃炎、便秘に効果が期待できます。
ナトリウム–塩化物泉の特徴として、温まりの湯(熱の湯)として塩の成分のパックで湯冷めしにくいのと、傷の湯として塩の殺菌効果で傷に効く特徴が有ります。
また、陽イオンには20ミリバル%以下の泉質名には記載する事が出来ない成分ではありますが、カルシウムイオンやカリウムイオンも含まれているので、カルシウムイオンから、神経の感受性を沈静化したり心筋収縮作用の強化や手足の痙攣の緩和、不整脈の改善、骨粗鬆症の予防、カリウムイオンから、神経信号の伝達・細胞内浸透圧の調整、手足の痙攣の緩和、不整脈の改善、高血圧の予防と言った効果も期待できます。
金の湯のお湯の浴存物質が44,790mg/kgの高張性のお湯と言う事で、10,000mg/kg以上の高張性のお湯は、成分が吸収されやすいお湯なので湯あたりしやすいお湯と言う事が分かります。頭痛、めまい、寒気など体調不良が起こる場合が有ります。
適時、水分補給や入浴と休憩を繰り返す「分割入浴」、熱いお湯に長時間入らないようにすると湯あたりを防ぐ事ができます。湯あたりしないためには、ビタミンC入りの飲み物を飲んだり、日をまたいで連日のようにお湯巡りをする場合には初日から長湯をしないようにすると湯あたりを防ぐ事ができます。
温泉分析書の読み方を学ぶとテレビの旅番組などの温泉を紹介する字幕紹介部分に泉質やpH値などが掲載されたりする場合がありますが、そこからざっくりとどのような泉質別適応症が有るのかや美肌効果に期待ができるお湯なのかなどが分かるようになります。
また、有馬温泉の金の湯の場合、97.0℃と泉温が高いのと浴存物質の量が44,790mg/kgと濃いお湯なので、入浴に適した温度にするために加水する必要があるため、浴存物質の割合も薄くなるので、例えば、「あがり湯」用のための源泉かけ流しの湯溜めが有ると良さそう。などと言ったアイデアも考えられるようになります。
ちなみに有馬温泉の金の湯は「三大稀少泉質」の含鉄泉となっています。
→「三大稀少泉質」:二酸化炭素泉(吉川温泉(兵庫県)花山温泉(和歌山)など)・含鉄泉・放射能泉(犬山寺温泉(兵庫県)三朝温泉(鳥取県)など)
温泉ソムリエの関連セミナーの受講を通じて、温泉に関しての知識が増えていっています。まだ、温泉ソムリエとしては初心者に近い状態ますが、調べたりするのに時間がかかったりしますが、温泉の事について質問などが有ればお気軽に聞いて頂ければと思っています。